疑心暗鬼の塔…その姿はまさに、三途の川に積み上げられた賽の小石。子供達が積み上げる小石は鬼によって崩されると聞きます。この疑心暗鬼の塔は、信頼している相手に対してでさえ、疑心を抱かせます。ところで、みなさんはご存知でしょうか。人は立方体を見ると、三面しか見ることが出来ないという話。サイコロを見ると頑張っても3面しか見えません。今回ご紹介するギシンアンキノトウは、そういった死角を使った読み合いのゲームとなっています。
ここが疑心だよ暗鬼の塔
- 6つの塔で構成される読み合い、少ない読み合いが初心者に優しい
- シンプルゆえに脳が疲れず、軽い脳トレ気分ですると良い感じ
ギシンアンキノトウ 2012年
物語…ストーリー設定
2人のプレイヤーは、価値が一部しかわからない塔を競り合い、より高い価値の塔を所有することを目指します。論理的な推測、相手プレイヤーの動向からの推測、それを逆手に取ったブラフを駆使して、心理戦を制しましょう。
設定…プレイ人数・時間
【タイトル】ギシンアンキノトウ
【発売日】2012年 【価格】中古3000円~
【プレイ人数】2人 【プレイ時間】20分ほど
【難易度】簡単【制作】カワサキファクトリー
【入手先】ヤフオクやメルカリ等
美術…コンポーネント
※箱上
※箱斜め
※内容物
取説…ルール・説明書
ロゴマークのある位置を目印に、疑心暗鬼のボードを設置します。(手前に赤のプレイヤー、奥に青のプレイヤー)
こちらはプレイヤーの所有マーカー5個づつと黄色の勝利マーカーになります。
6つの塔を用意します。この塔、側面4箇所に黄色と黒の色が張られています。立てると向こう側の2面が死角で見えません。
底の面には数字が書かれており、側面に黄色の面がいくつあるかを表示しています。4だと側面は全て黄色。0だと側面は全て黒。黄色と黒が半々の黄色2の塔だけ、塔がふたつあります。
これらを袋に入れて、シャッフルします。その後袋から一個づつ取って、ボードに乗せていきます。その際注意点があり、逆さまに置かないように、側面を見ないように気をつけます。これで準備が整います。
このゲームは、交互に所有マーカーを塔に乗せることで、塔を所有することが出来ます。マーカーは5つ。重ねておけますが2段が限界です。ゆえに2個同じ塔に置けば、塔を独占することができます。マーカーをお互い全て乗せ終わると試合終了。お互い所有した塔の得点を計算をして、得点の高い方が勝利します。(黄色面ひとつ1点)ただし決め事があり、黄色2面の塔を2つ所有したら無条件で勝利となります。
実践…軽いレビュー
ふむ…。2面黄色の塔が3つもある。となるとこのうちひとつは、4面黄色、ひとつは3面黄色、ひとつは2面黄色が確定ですね。しかしどれがどれだかわからない。となると一手目は適当に置いて様子を見るかしかあるまい。では、こちらから行きます。
ココに置きました。もし上に乗せてきた場合は、その塔は4面黄色の塔である可能性がかなり高いが…
相手が置いたのは手前の塔。むう…。ここが4面黄色の塔なのか…。相手から見える情報で、2面とも黄色の塔はこの状況ではひとつしかないはず。く…。ならばここは押さえておきたい塔か。
すかさず赤を上に置く。これでこの塔はふたりが所有する塔となる。問題は次の一手だな。奥の2つの塔どちらかが3の塔で、どちらかが2の塔、いや待てよ、手前の2面黄色の塔だって、3の塔である可能性だってまだ考えられる。ここは相手の出方を伺うか。。
左奥の塔に乗せてきたか…となると、相手からはあの塔は1面は黄色で3の塔なのか、私が置いた右の塔は相手からは黒でしかない可能性があるな、となると右奥は2の塔確定か?…そうすると、まだ置かれていない片面黄色の塔は2の塔である可能性があるな。一応押さえておくか…このゲーム、2面黄色の塔がふたつある、2の塔を2つ所持すると点数に関係なく勝利。ゆえに2の塔だけは2つ押さえておく必要があるのだ。
今のところ、互いの点数を予想するとは赤が4+2+2で8 青が4+3で7 2の塔を両方所持しているのはこちらで、点数も2の塔も、共に有利であるはずだ。
なんだと…。左奥を制したというのか…。あれは3の塔で間違いない。もし2だとしたら相手から見て黒2面のはず、そんなところに2つも置くなんて博打もいいところだ。いやまてよ…まさか手前の塔…あれが3の塔だとしたら…あの塔は4の塔か…まってわからなくなってきた。ともかく今4と3は埋まっている。あとは2の塔が2つに1の塔がひとつ。黒だけの0の塔がひとつ。こちらから見えてる面を見る限り、相手が見ている面は、黒だけが2つの塔が2つあるはず。うーむ。
奥の塔は確かに2の塔なのだが、もう片方の2の塔も制圧は必要。ここがそうであるといいのだが、置く。…いやミスッたかな…やっぱ奥を制しておいた方が良かったんじゃ。
お!そうきたか。とするならば、何も置かれていない塔は2の塔ではない。あっちから見て2面黄色の塔を後半まで空けておく意味が無いからね。となると、勝負はついている。2の塔を2つとも所有しているのはこちら。あとは1の塔がどちらかだけど…これはわからん。ええい。頼むぞ。
ここが1の塔‥どやぁ?
ぐは…。あっちが1だったか。無念。結果発表の前に結果を予想すると、
3 2
1 2
4 0
なので、赤は4+2+2+0=8 青は4+3+2+1=10 …点数は負けている…だけど2の塔をあっちは1つ、こっちは2つ所持している為、こちらの勝ちのはずでは…オープン!
3と4の位置こそズレているもののほぼ予想通り、点数は赤7点、青10点、だけど2の塔をふたつ所持している、赤の勝ち。
まとめ…評価
美術点★★★★★ ゲーム性★★★★★
このゲームはコンポーネントはこれで完成されてると思います。シンプルでありながら丁寧な作り。塔もずらして配置してあり、ちゃんと2面見えるように設計されている。ゲーム性も適度な考察になるよう考えられており、たったの5手なのに疑心暗鬼を生み出すに至っています。このゲームは勝利の黄色マーカーを先に3つ手にすると勝ちです。2度目、3度目と勝負を重ねるごとに、相手への疑念が増していき、どんどん疑心暗鬼に陥っていくことでしょう。皆さんも是非、信頼の置ける相手との勝負、されてみてはいかがでしょうか。